バレエ作品紹介 09
ロミオとジュリエット
シェークスピアの戯曲『ロミオとジュリエット』のバレエ化。
いがみあう二つの名家のいざこざに巻き込まれて、愛し合いながらも命を落とすことになったロミオとジュリエットの悲劇。
ルッジ版(1785)
ガレオッティ版(1811) 音楽 シャール
ニジンスカ=バランシン版(1926) 音楽 コンスタント・ランバート
プソッタ版(1938) 音楽 セルゲイ・プロコフィエフ
ラヴロフスキー版(1940) 音楽 セルゲイ・プロコフィエフ
チューダー版(1943) 音楽 フレデリック・ディーリアス
バルトラン版(1950) 音楽 ペーター・チャイコフスキー
アシュトン版(1955) 音楽 セルゲイ・プロコフィエフ
ジョン・クランコ版(1958) 音楽 セルゲイ・プロコフィエフ
マクミラン版(1965) 音楽 セルゲイ・プロコフィエフ
ベジャール版(1966) 音楽 エクトール・ベルリオーズ
クルベリー版(1969) 音楽 セルゲイ・プロコフィエフ
チェルニショフ版(1969) 音楽 エクトール・ベルリオーズ
ノイマイヤー版(1971) 音楽 セルゲイ・プロコフィエフ
グリゴローヴィチ版(1978) 音楽 セルゲイ・プロコフィエフ
*( )内の数字は初演年
原作はシェークスピア(1564-1616)の代表的戯曲「ロミオとジュリエット」彼は20年の作家活動の間に37編もの戯曲を残しているが没後150年の1761年バレエ・ダグシオンの確立者ノヴェールがシュトゥットガルトで「クレオパトラ」を上演したのを皮切りに1785年ロンドンでル・ピク振付の「マクベスベネツィアでルッジが「ロミオ〜」を初めてバレエ化し、次第にバレエ題材に使われるようになった。
「ロミオ〜」は過去のギリシア物語や口伝をもとに1554年にマッサオ・バンデルロが書いた散文の仏訳から、アーサー・ブルックが英訳の長編詩を作った。それが「ロミオとジュリエットの悲恋物語」で、シェイクスピアの戯曲はこれを定本として1595年に書かれたものである。
使われる音楽の代表的なものはプロコフィエフのものだが、劇作家ピオトロフスキー、振付師ラブロフスキーの共作を得て1935年に書かれた最初のものは、共産国ロシア当局の要求を受けてハッピーエンドを余儀なくされ、バレエ史上稀に見る失笑を買う筋書きだったという。1936年のキーロフ・バレエ200年祭に上演される予定も酷評の末流れ、結局1938年、チェコスロバキアのブルノ国立劇場で、主演セムベロヴァ、プソタ振付により初演された。
この時筋書きも原作にそった悲劇に書き改められ、プロコフィエフは新たに終曲を書き、バレエは成功をおさめた。この成功でキーロフも上演に踏み切ることとなった。
現在までに数多くの振付が残され、「白鳥の湖」に並ぶ代表的なバレエとなっている。内容も版によって違いがある。
〜内容〜
早朝のヴェロナの街。ロザラインへの失恋を癒すためにロミオは一人さまよっている。明るく日が昇り街が活気に溢れ、彼が街角に姿を消した後対立するキャピュレット家とモンタギュー家の衆が出会い、お互いを口汚く罵りながら喧嘩になる。
両家はどちらもヴェロナきっての名家であるが、中世の身分的偏見からこれまでも血腥い確執を演じてきていた。広場を群衆が埋める。
モンタギューの甥ベンヴォーリオが仲裁に入るが、キャピュレットの甥ティボルトが現れて彼を激しく罵る。
二人の決闘。収拾のつかない混乱状態になったところで警鐘がなり、ヴェロナの太守エスカラスが広場に現れ、今後街の平安を乱したものは死刑にすると宣言する。
両家の衆は牽制しつつ引き上げる。
キャピュレット家のジュリエットは貴族パリスとの結婚を両親に命じられる。
次にキャピュレット家の晩餐会の場面。招かれた賓客に紛れて、ロミオはマーキュシオとともに忍び込む。
ジュリエットはパリスと冷ややかな態度で踊っている。
ロミオとジュリエットの目が合い、二人は惹かれ合う。
ロミオは教会のローレンス神父に愛を告白し助けを乞う。ジュリエットの乳母の協力もあって、秘かな結婚式を挙げる。
再び、ヴェロナの広場。
キャピュレット家のティボルトがロミオに決闘をしかけるが、ロミオは拒絶する。納得のいかない友人マキューシオがロミオの代わりに決闘を受け、後を狙われた卑怯なやりかたでティボルトに殺される。
理性を失ったロミオはティボルトに襲いかかり、殺してしまう。
ジュリエットの寝室の場面。初夜を過ごした恋人達が目覚める。
マンチュアに追放を言い渡されたロミオは旅立たねばならない。別れを惜しむパ・ド・ドゥの後、ロミオが旅立つ。
キャピュレット公夫妻がジュリエットにあらためてパリスとの結婚を強制する。ジュリエットはローレンス神父に助けを求め、一時的に仮死状態になる薬を与えられる。神父はロミオにその計画をしたためた手紙を送る。
仮死状態になったジュリエットの葬儀の場面。
親族たちが嘆きながら最後の別れを惜しんだあと、隠れ忍んでいたロミオがマントを脱ぎ捨てて暗闇から現れる。ロミオは神父の手紙を受け取れなかったため、真相を知らない。彼はジュリエットの冷たい体を抱き、毒薬をあおって自殺する。やがて仮死状態から覚めたジュリエットはロミオの遺体を発見し、彼の短剣で自らの胸を刺し、息絶える。
ローレンス 神父が駆けつけ、二人の遺体の前で両家を和解させ、幕。