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No. 04 研究テーマ
萩尾作品におけるバレエ―萩尾「バレエ・パレット」を理解する試み―
VOl.2 『青い鳥』PFコミックス所収作品
text: 『青い鳥』 失った恋に縛られて、得意だった「海賊と姫君」を踊らずにモダンに転向していたローズマリィ。
プチフラワーコミックス/B6判/全1巻/小学館/ 初版1991.5.20
「海賊と姫君」
(P5〜54)
彼女の恋は移ろいやすく、心はどこか閉ざされているが、
客演に来たパリでパワフルに”海賊”を踊るオリバーに出会う。
彼の情熱が彼女の頑なな心を溶かし、過去から彼女自身の心を取り戻していく。
作中で使われるバレエ作品
作中に出てくる実際にあるバレエ作品名を抜き出してみる。
●バレエ作品はそれぞれ【図書の家/仮想書庫】のバレエ紹介のページにリンクしています。タイトルをクリックしてください。
バレエ作品名
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登場ページ
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内容 |
海賊 | ◎表題、及び全編に渡って出てくるが主なダンスシーンは下記 | |
タイトル画 | ローズマリィとオリバーの海賊 | |
P6〜P7 | ローズマリィが初めてオリバーの踊りを見る | |
P13〜P15 | 本来のパートナーパールの怪我により代役としてぶっつけ本番でローズマリィが出て初めて二人が踊るシーン。最初から息が合い、評判になる。 | |
P20 | 公演の間パールに代わってパートナーになった二人の踊り。 | |
P33〜35 | ミカヤに恋の上でも踊りでも負けまいとするオリバーのパワフルな踊り、公演ラスト。 | |
P47〜P48 | チューリッヒ公演のミカヤ踊り。オリバーの踊りが思い出される。 |
白鳥 | P50 | クラシックのダンスシーンとして。恐らくは「白鳥」かと・・。 |
王子役として申し分のない実力をもつアシュアはヤンが入ってからなぜか”ツキ”がない。
得意の『青い鳥』は彼にとられるし、恋人まで....。一方、新人のヤンは個性と申し分のない技術を発揮。
団員達はそんな彼をバレエ団の”青い鳥”だとさえ噂する。アシュアは強烈なライバル意識を燃やす。
バレエ作品名
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登場ページ
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内容 |
青い鳥 | ◎表題、及び全編に渡って出てくるが主なダンスシーンは下記 | |
P58〜59 | ヤンとチャーミアンが踊る「青い鳥とフロリナ王女のデュエット」 | |
P72 | ヤンが出ていってふたたびのびのびとアシュアが踊る | |
P101〜103 | ヤンが子供の時にみたアシュアの踊り。夢のように美しい。 |
ジゼル | P60 | ヤンが来たパリ・マリの公演でのアシュアとサラの踊り |
くるみ割り人形 | P68 | ヤンが来て勢いづくパリ・マリ・バレエ団の公演での演目。この中でヤンは監督が新たに振り付けた「中国の踊り」を踊り大評判になる。 |
火の鳥 | P68 | ヤンにゲストの話があちこちから舞い込んでいるという話に監督が言う。 「いやいやヤンは当分かさないよパリ・マリは 次はヤンで火の鳥をやりたいからね」 |
ピナはラ・フォス・バレエ団の新人。
はっきりモノを言う性格の為にトップスターのイブには嫌われている。
そんな彼女はゲストで来たロブ・カリガリがちょっと気になる。公演の演目は「白鳥の湖」。
ロブが踊るのは悪魔ロットバルト。その実力は凄い。舞台の幕が開いた。
しかしイブの様子はどこかおかしい。そして事件は起きた!
物語はミステリ仕立てで進み、事件続きで大騒ぎの中で急に主役を任されたピナは
それでも美しい舞台を生み出すために全力を尽くす。
スリリングな展開のあと、甘いラストでほっとひといき。
バレエ作品名
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登場ページ
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内容 |
白鳥の湖 | ◎タイトルの「ロットバルト」はこの中の悪魔の名前である。 ◎全編に出てくるが主なダンスシーンは下記 |
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P107 タイトル画 |
白鳥とロットバルト | |
P113 | 始まる前からピリピリしているイブは舞台が始まっても調子が悪い。一幕のシーン。 | |
P139〜P141 | いろいろな疑念が浮かび大変な時だが、チャイコフスキーの音楽とともにピナの気持ちはバレエの中に入っていく。オデット姫とジークフリート王子の場面。 | |
P146〜148 | 幕間にまた事件が起こり動揺するピナ。イアンが失神し代役が急にロブに振り返られた。一度も合わせてない上にパニックを起こしているピナを励まし、二人は舞台に出る。 黒鳥と王子の踊り。急な代役でも堂々とソロをこなすロブの踊りが見ている人を魅了した。 |
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P153〜P155 | 事件の解決が語られるのに合わせてのダンスシーン。 |
「ジュリエットの恋人」(P161〜208)
“ヴァロナ劇場で「ロミオとジュリエット」を踊ったカップルは結ばれる。
” |
バレエ作品名
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登場ページ
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内容 |
ロミオとジュリエット | ◎全編に出てくるが主なダンスシーンは下記 | |
P160 | ジュリエット | |
P167〜P170 | 過去に踊ったサンドラとアルノーの「ロミジュリ」の新聞記事。表面的には喧嘩腰の二人が練習に入って踊るシーン。 | |
P178 | ロミオの死を知って胸に短剣を刺すジュリエットのシーン。サンドラの思いと重なって迫力がある。 | |
P188〜P191 | 公演が始まって展開される完成された舞台。団員をも唸らせる素晴らしい出来の二人。オーナーが昔、激賞した記事を書いたのは自分の父だと言って紹介する。彼女には二人の踊りに最初から期するところがあったのだった。 | |
P204〜205 | 炎の中、ジュリエットを連れ去るロミオの踊りのイメージが重なる。 |
(「海賊と姫君」「ジュリエットの恋人」:『感謝知らずの男』小学館文庫/全1巻/小学館/
初版2000.9.10に収録 )
(「青い鳥」「ロットバルト」:『ローマへの道』小学館文庫/全1巻/小学館/ 初版2000.9.10に収録 )
資料作成:天野章生/作成日:1999/9/29 更新2001/4/7