最終更新:2000/8/9

File No. 4-1付録 研究テーマ
萩尾望都「フラワー・フェスティバル」の中のバレエについて

 

『フラワー・フェスティバル』作品に出てくるバレエについて安田孝さんにお伺いしてみました。
(作品全部を読んで頂いたのではなく、絵をお見せしただけなのでその点ご了承ください。)


●1巻 P122〜124「タランテラ」

タランテラは南イタリア地方の、速く活発な8分の6拍子または8分の3拍子の舞曲や民族舞踊のこと。
名前は南イタリアの地名タラントから起こったとも、毒蜘蛛タラントゥラに噛まれた時にこの踊りを踊り、汗をかいて毒を出してしまうという伝説から起こったとも言われている。


ブルノンヴィル(「ラ・シルフィード」「フラワー・フェスティバル」の振付家でもある)の振付けで知られる「ナポリ」の中の「タランテラ」は三幕のパ・ド・シスとともにブルノンヴィル・ディヴェルティスマンとして、ニューヨーク・シティ・バレエ、キーロフ、ほか多くのバレエ団でしばしば上演されているが P146のセリフの中に「振り付けはローラン・プティ?」「ううんバランシン」とあるのでみどりがここで踊ったのはバランシン(ニューヨーク・シティ・バレエ)によるものと分かる。

今から10年くらい前にテレビで放送された「日本バレエフェスティバル」で堀内元&カオリさんが踊ったモノで、女性がタンバリンを持って踊る形でこの場面の感じに(女性の衣装なども)よく似ている、ということでした。 p124にある「一度テレビで見た”タランテラ”は」というセリフもありますが、このテレビ放映時期と作品を描かれた時期はほぼ近いようです。堀内元さんはかつてニューヨーク・シティ・バレエのプリンシパルだった(現在も?)ので二人が踊られた振付はバランシンのものだった可能性が高い・・とのこと。

★(注)しかし古い記憶なので断言は出来ない、とのことでした。が、これはかなり参考になる情報だと思います。どなたかビデオ録画などされてませんか?by天野

●1巻表紙
「くるみ割り人形」の中にアルルカン、コロンビーヌ、アラビア人の人形などがエキゾチックに踊る場面がある、その中のアルルカンに雰囲気が似ている。仮面をつけているのはロミオ&ジュリエットも入ってる? もしくは”Commedia dell'arte”と呼ばれる、”Italian street theatre”のストック・キャラクターの踊り。(「リーズの結婚」)


●1巻P46
真ん中の衣装はデンマークの振付家でバレエスタイルの一つを創ったブルノンヴィルの「ゼンツァーノの花祭り(フラワー・フェスティバル)」に出てくる村娘の衣装のイメージ。


●1巻P163
ジゼルorラ・シルフィード?
花の髪飾りやロマンティック・チュチュと呼ばれる衣装(バレエのロマンティック時代=産業革命時代)


●2巻表紙
恐らくは現代バレエ。バランシンより新しいか?ジェローム・ロビンズの何かか、アントニー・チューダーの「リラの園」(ライラック・ガーデン)、フレデリック・アシュトンの「マノン」などでこんな感じの衣装を見たことがある・・。


●2巻P43
「ロミオ&ジュリエット」の現代解釈バレエ版かバランシンの「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」か?


●2巻P123
アシュトン「スケートをする人びと」でこんな感じの衣装を見たような・・。


●2巻P159
スコットランドの衣装は「ラ・シルフィード」その下が「白鳥」「カルメン」「ドン・キホーテ」「シンデレラ」「海賊」など。


安田博子バレエ研究所の皆様のご協力に心より感謝申し上げます。


文責:天野章生 / 作成日:2000/8/9

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